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映画には声が存在する。映画の声というものがあるのだ。トーキー初期の溝口健二やそれを敏感に感じたはずのゴダールがそうしたように、遠藤麻衣子の映画もただひたすらそのことを主張するのだが、『KUICHISAN』と『TECHNOLOGY』という2本の映画は、さらに大胆に、その映画の声自体に映画を語らせようとするのである。言葉ではない声による語りに、誰もが戸惑い、しかし、誰もが宇宙人だった自分を発見することになるだろう。
— 樋口泰人(爆音映画祭プロデューサー)
MAIKO ENDOは違う惑星から来た。美しくオリジナルな惑星で、そこで見る色や形は以前見た事がある様で、実際には完全に新しい。
— ジョッシュ・サフディ (『グッド・タイム』『神様なんかくそくらえ』)
並外れた美しさに見守られた作品。 — MTV
脳裏に焼き付く得体の知れないヴィジョン。 — FILM COMMENT
映画祭で見た中でダントツぶっ飛んでいた作品。 — FILMMAKER MAGAZINE
古代とULTRA COOLが美しい映像によって出会った。『KUICHISAN』は、映像による救済でありドキュメンタリーの浄化である。 — ポリティカン(デンマーク新聞紙)
この幸先の良いデビューをした作品は、様々なジャンルを滑り抜けながら、腰を落ち着かす前に、その構造につき完全にオリジナルで真に迫った物となっている。
— FILM COMMENT
『KUICHISAN』を見に行く時には、伝統的な物語というより、沖縄についての散文詩、または旅人によって良く書かれたノートの様な物だと知っておくといい。
— ニューヨーク・タイムズ
この映画のポリフォニー、時間感覚と様々な映像を駆使し、それを信じられない繊細さとマグマの様な直感的な流れで表現した事を評し、この賞を授与する事に決めました。生き生きとして、勇敢で、剥き出しに残酷なこの映画の魔法に魅了されました。様々な要素を扱いながらそれでいて、まばゆいばかりのその作品の形式を損ねる事が一切なく、これは真の芸術の到達点であると言えます。 — イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭審査員長
きのうは新しい才能の出現を鮮明に印象づけられた夜でした。
私が思う、新しい才能の出現というのは、ある種圧倒的な空気を携えています。圧倒的なものとの出会いは好き・嫌いの言葉を越えた体験です。
ストーリーを追わず映像を体験する、その映像が、あまり弛緩する瞬間がなく、刺激的な音と映像が続くことから70分という時間は想像以上に長く感じられました。
− 林央子(編集者)
どちらの映画も音の印象が強く残った。
「KUICHISAN」の音は、私たちが常にふさぎようもなく聞くさまざまな「音」がこんなにも激しく私たちの体を、世界を、打つものだったことを。
「TECHNOLOGY」では、「静けさ」という「音」から私たちがどれだけ豊かな色彩や時間感覚を得ているのかを。
– 滝口悠生(小説家)
遠藤麻衣子の壮大な最新作『TECHNOLOGY』と独創性に富んだデビュー作『KUICHISAN』は私にとって衝撃的なものだった。純粋に視覚的なストーリーテリング、そこへのちょっとずれたアプローチ、美しさと不穏が共存する視点、が見所であるが、それらが彼女の輝かしい才能の全てではない。要するに彼女はユニークなヴィジョンと手法を持ち合わせるアーティストなのだ。私がこの二本を観る前と後では自分の中で何かが変わった、と言っても過言ではない。少なくとも、その様な―革新的な体験―それこそが本来映画が私たちに与えるべきものなのだ。
― マイケル・アリアス(映画監督)/ michaelarias.net
Maiko Endo’s recent epic feature Technology and seminal debut Kuichisan were real eye-openers for me. I could point to her off-center approach to purely visual storytelling, or her love of the simultaneously beautiful/disturbing as highlights; but that would sell her sparkling talent short. Suffice to say that she is an artist with a unique vision and the tools to express it. I’m not exaggerating when I say that I was a different person coming out of that double feature than I was going in. And, if nothing else, it is just that kind of experience—a transformative experience—that I want in a film.
— Michael Arias, filmmaker / michaelarias.net
KUICHISANのコメント
混沌の中から、少年の持つ超能力に感応し、観ている人も特殊なパワーを授かりそうな映像。映画というより、イニシエーションです。
— 辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)